8月6日、広島で、原爆犠牲者追悼の催しが行われる。
私もまた、この日、かならず黙祷をささげる。
別して、ある人びとに心からの哀悼を捧げる。ここに、そのひとりの女性を偲んで、ありし日の写真を掲げておく。
生きる時代を異にしたため、私はわずかに彼女の映画を1本見ることを得ただけで、ついに舞台を見ることがなかった。しかし、彼女のおもざしは私の内面に深く刻みつけられている。
園井 恵子という女優である。戦争末期、移動演劇の一隊に属して、広島に巡演して、原爆死を遂げた。ここにかかげるのは、まだ、戦禍を知るよしもなかった「宝塚」在籍中の写真である。
合掌。