藤田 嗣治の「私の夢」(1947年)を見た。
「日本の美術館 名品展」に出品されていたが、画面いっぱいに、片腕を頭にあげて、まどろむ美女の裸身。そのベッドをとり囲むように、ネコ、オオカミ、ウサギ、サルなどが十数尾。半分ばかりは、人間そっくりの衣装をつけている。
美しい女のヌードと、鳥獣戯画の組み合わせだが、フジタはどうしてこんな絵を描いたのか。
1947年、この画家は、はげしい攻撃にさらされていた。戦争画を描いて、戦争に協力したという理由だった。
戦後のフジタは、まったく沈黙していたが、この「私の夢」が、戦後の最初の作品になった。その後、フジタは、日本を去って、フランスに永住し、レオナール・フジタと改名して生き、フランス人として死ぬ。
この絵をよく見ると、ベッドの下側にネコが3匹いて、サル2匹と争っている。左のネコは、サルの攻撃をふせいだらしく、サルはホエ面をかいて、となりのウスノロのトリにしがみついている。画面中央のネコは、赤い衣裳のサルに襲われて、思わずシリモチをついたかっこう。
一方、ベッドの上側には、イヌ、オオカミが、何やらよからぬ相談をしている。中央の3匹はタヌキかもしれない。
この絵が何を寓意しているか、忖度できないが、この動物たちが、いずれ魑魅魍魎のたぐいと見ていいだろう。
フジタは、そのなかでネコだけは、最後まで信頼していたと見ていい。