この恐竜の絶滅から、まるで別のことを連想する。
「アルテミス合意」について、書きとめておく気になった。(2020年10月13日)
「アルテミス計画」は、24年までに、宇宙飛行士をふたたび月面に送る計画。これに参加・協力する8カ国(アメリカ、日本、カナダ、イギリス、イタリア、オーストラリア、ルクセンブルグ、アラブ首長国連邦)が、「合意」に署名した。
NASA(アメリカ航空宇宙局)長官、ジェームズ・ブライデンスタインは、「アルテミス計画」は「歴史上、もっとも多様な国際宇宙探査連合になる」と語った。
この合意は、13項目。
宇宙の平和利用の原則のもと、月面で採取した水や鉱物などの資源を所有・利用することを容認する。科学的なデータの共有など、探査活動中のルールをきめた。
それにしても、私はすごい時代に生まれあわせたものだ。
私は、近い将来、人類が月面で生活できるようになると確信しているが、当然、領有権をめぐって紛争が起きるのではないかと危惧している。
げんに、中国は月の裏側の観測に着手しているし、アメリカは、陸海空の三軍とは別に宇宙軍を創設している。
この「合意」が、ロシア、中国を排除しているのは当然だが、EUの各国が参加していないことに不安をおぼえる。
こんなとき、私は、にやにやしながら、映画監督のチャン・イーモーの言葉を思い出す。
地球なんて、ずっと恐竜が住んでいたんだ。
人類の歴史なんて短いものさ。
恐竜は十数億年、何十億年も地球に君臨していた。
20メートルとか50メートルの恐竜が空を飛んでいた。
宇宙の中のこの小さな地球で、映画の撮影なんて、「LOVERS」なんて、
取るに足らないことさ。
ついでに説明しておこう。
2003年9月、チャン・イーモーは、ウクライナで、「LOVERS」(「十面埋伏」)の演出に当たっていた。
チャン・ツィイーの母親役に、香港の大スター、梅 艶芳(アニタ・ムイ)を起用する予定だった。しかし、この時期、アニタ・ムイは重病に倒れた。チャン・イーモーは、アニタの回復を信じて朗報を待っていた。
監督の希望もむなしく、アニタ・ムイは亡くなった。(12月30日)
チャン・イーモーは、完成した「LOVERS」(「十面埋伏」)を、梅 艶芳(アニタ・ムイ)にささげている。
恐竜は十数億年、何十億年も地球に君臨していた。
20メートルとか50メートルの恐竜が空を飛んでいた。
私は、コロナ・ウイルスの深刻な災厄のさなか、ときどきこのことばを思いうかべた。
チャン・イーモーは、私に元気をくれたひとり。