マリリン・モンローの出た「王子と踊り子」は、アーサー・ミラーと結婚したマリリンが、はじめて外国で撮影した映画だった。
公開当時は、イギリスを代表する俳優、ローレンス・オリヴィエの重厚な演技に、マリリンの演技は拙劣に見えるという批評が出た。
ところが、この映画では、ローレンス・オリヴィエの芝居がへんに重ったく見えるのに、マリリンの演技は、とても自然で、終始、オリヴィエを圧倒していることがわかってくる。
これには、いろいろと考えさせられたものだった。
ところで、この「王子と踊り子」は、ヨーロッパの(架空の国の)王子さまと、しがない劇場の踊り子の恋物語だが、なんとなくハプスブルグ的な雰囲気がただよっていた。
むろん、なんとなくそんな気がしただけのことである。
最近になって、昔のドイツ映画におなじ「王子と踊り子」Der Prinz und die Tanzerin という活動写真があることを知った。
レオ・ビリンスキー原作。リヒアルト・アイヒベルク監督。主演は、ウィリー・フリッチュ、ルツィー・ドレイン。1926年の作品。
レオ・ビリンスキーは、この時期に「私はこの女を買った」というメロドラマの原作者だったという以外何も知らない。リヒアルト・アイヒベルクという監督についても何も知らない。
ルツィー・ドレインという女優さんも知らないのだが、ウィリー・フリッチュなら私も見ている。
マリリン・モンローの「王子と踊り子」が、活動写真の「王子と踊り子」のリメイクだったかどうか、にわかに断定できないが、おそらくそういうことだったのだろう。
植草 甚一さんに伺いたいところだが。