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正月二日を詠んだ虚子の句に、

    今年はや二日となりて翕然たり

 という句があるが、徳田 秋聲の作、

    正月の静かに暮る丶 二日かな

 と並べてみると、虚子の句のいたらなさは蔽いがたい。
 虚子、秋聲と、並べて、漱石先生の、

    一人居や思ふ事なき三ケ日

 となれば、虚子などよりはるかに落ちついた句になっている。