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鍋料理のおいしい季節になった。

ひどく簡単な鍋料理だが、細いソ-セ-ジをいためる。その脂でザウワ-クラウト(キャベツの塩漬け)をいためて食べる。まるっきりアルザスの農家の味。

私のちゃんこ鍋、といってもお相撲さんのちゃんこ鍋とはべつのもの。寄せ鍋。
お相撲さんのちゃんこ鍋には、つくねをメインに17種類の具という豪勢な鍋もあるが、私の鍋は残りものや、冷蔵庫にあるものを利用するだけ。
お上品な鍋ではないので、ダシは必要ない。
肉といっしょにサカナや貝(何でもかまわない)、野菜、とくに白菜。春菊。
肉は牛肉なら少し(アクが出る)、ブタ、トンソク、トリ。魚は白身がいいのでタラにするが、なんなら鯛の切り身を入れてもいい。
シラタキ、ト-フ、タケノコ。シイタケ、ナルトの切れっぱし。ごった煮。
眼目は、うどん、キシメン、キリモチ、なんならハルサメでもいい。
煮あがったら、ショ-ユ、酢、これにラ-ユかマスタ-ドを溶かしたヤツで、フ-フ-いいながら食べる。

もう一つ、冬の季節、私がときどきいただく「寒貧飯(カンピンパン)」。清国の車夫馬丁のやからが食べたというから、文字通り、貧乏人の食うオマンマ。ぐるめのお方には、おすすめしない。
ブタ肉のコマギレ少々を鍋でいためる。少しいためたら、こまかく(1センチ~2センチ)切った野沢菜をひとつかみ放り込む。好みで塩をふりかけてから、お湯をひたひたにそそぐ。煮立ったところに、ご飯をまぜてお粥ふうにする。
所要時間、2~3分。自分でつくれるところがいい。

いかにも貧乏作家の昼メシだが、けっこうオツなもんで。