天保銭。
天保6年10月から鋳造されたという。裏側に当百とあって、百文(もん)に通用したが、ペルリ来航からの物価騰貴で、貨幣価値が下落した。
一つとせ 人のほしがる 当百(とうひゃく)も
今じゃ 世間にいやがられ この 天保銭
二つとせ ふびんなことには 百銭が
百で世間がわたられぬ この 天保銭
これは、一つとせ節(ぶし)。
ここから・・・世間並みでない、ちょっと足りないやつ を「天保銭」というようになった。
私の少年時代には、まだこの「天保銭」が実際に使われていた。
「あのヤロ-、天保銭のくせしやがって」とか「なんでぇ、この天保銭!」といったいいかただった。
戦争がはじまってからは、「天保銭」は別の意味をもったが思い出す必要もない。