握手は中世の頃に始まっている(らしい)。
「ロミオとジュリエット」を見ればわかるのだが、中世の気風はまことに殺伐で、見知らぬ人と会ったとき、どうかすると、たちまち武器を手にしなければならない場合もあった。右手はさっと腰の短剣に伸びる。
ふたつのグループは、お互いに武器を手にして相手のまわりをぐるぐる回る。やがて無言のまま武器をおさめるまで。そうなると、武器をもっていないことを見せるために右手をさし伸べて、お互いに握りあう。これが握手の始まりだった。
今でこそ異性と握手しても、誰も不審な眼を向けないが、こういう風習はあまねくひろがっているわけではない。香港映画でおなじみだが、胸の前で固めた拳に右の手を重ねる礼。あれだって、他人に会ったときは武器をもっていないあかしに、相手の前で自分の手を握ってみせたことから起きている。ジェット・リ-がやるとカッコいい。
握手は仕事の取引のあかしにも使われる。手をクロスさせて握りしめるのは、その仕事を祝福すること、それぞれお互いの名誉をかけた意思をしめすため。