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サッカ-W杯をあと1カ月にひかえたベルリンでは、それぞれの小学校に出場国の応援をふり当てている。
日本を応援することになった小学校では生け花、アニメの模写などを通じて、それまで知らなかった日本について子どもたちが勉強している。これはいいことだと思う。
この子どもたちは日本のことを勉強しているのではない。未知の世界を発見するのだ。これをきっかけにずっと日本に関心をもつ子が出てくるかも知れない。
たいした費用もかからないはずで、こうした現場にドイツ的なプラグマティッシユな姿勢がある。日本の文化官僚にはこうした発想はない。
こういう実際的で、長い目でみれば大きな効果のある教育こそ、文部科学省としては考えてしかるべきではないか。
日本でも、おなじようなことをもっと早くから、そして継続してやっておけば、世界に対する理解がひろがっていたと思われる。文部科学省あたりが考えてしかるべきこと。外国の中高生を二、三人、せいぜい一週間か十日、ホ-ムステイさせる程度で国際協力の実があがるといった、いつも目先のことしか考えない、自分の出世に関係のないことは考えない連中ばかりだから、実現はむずかしいだろう。