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(つづき)
泉 鏡花の人物描写がおもしろいので、もうひとつ別の例を。
背丈があのくらい長いのは、世間に沢山あるものではない、という学校の教師。

教師は、其時分からもみあげを剃込んで、第一色の蒼白い、油できちんと髪を分けて、雪のやうな襟の巾(はば)、縦に五寸といふので、いつも薄色の服をつけて、竹馬に乗った小児(こども)のやうに、大跨(おおまた)に、ひょいひょい。

この奥さんがいい。

腹へおそなへを盗んだやうに、白い服の外からもだぶだぶ見える、大きな乳を、大道で、直ぐに飲ませさうな見脈(けんみゃく)をして歩行(ある)いたのは、四十恰好の女教師で、此の又つんづら短い事、横ぶとりに肥った事。顔といひ容子(ようす)といひ、ぶくぶくした工合(ぐあひ)、真鰒(まふぐ)を風呂敷に包むだやうで。

昔のアメリカ・マンガ「ジグス&マギ-」を逆にしたようなカップル。
こういう描写にも明治の匂いがたちこめている。