めっきり数がへったけれど、たまに各地の同人雑誌が届く。
ずいぶん昔のことだが、ある雑誌でしばらく同人雑誌評をつづけていた時期があって、手もとに届いた同人雑誌は全部読んだ。
当時の私は、文壇作家とは違う次元を切り拓くようなもの書きがいるのではないか、という漠然とした期待をもっていた。
今でも全国的には、かなりの数の同人雑誌がでているものと思っている。ほとんどが経済的に苦しい条件のなかで発行されているのだろう。むろん、それぞれの同人雑誌に発表されている作品は千差万別で、ひとしなみに論じることはできないが、大別して三つにわかれている。
まず、他人にどう評価されようと気にしないで、自分たちのグル-プだけで作品を書いていればいい、というタイプ。これは詩や俳句の結社の機関誌や、地方で結束して営々と雑誌を出しているグル-プに多い。
もう一つは、たとえ誰にも読まれないにしても、同人雑誌で長く文学修行をつづけてきた人々の雑誌。こういう雑誌に書かれているものは、読んでいてまずあぶなげのない作品がそろっている。「季刊午前」や「季節風」、「星座」などをあげておこう。
最後にあげるのは・・・すぐれた主宰者をとり囲んで、お互いに切磋琢磨したり、和気あいあいとした雰囲気が感じられるグル-プ。三重県鈴鹿在住の清水 信を中心にした強力なグル-プもその例だろう。これについては、「きゃらばん」の庄司 肇が、「遠望す、清水一家」というエッセイを書いている。
これに対して清水 信は、「庄司肇ノオトA」を書いている。(「清水信文学選」63)これからのエ-ルの交換がおもしろくなりそうである。
同人雑誌を読む楽しみはこのあたりにある。