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明治時代、「団々珍聞」に出た都々逸。

人のうわさで また気がまよふ 思い切(ろ)う と する矢先

まあ、そんなものだろうな。しかし、おなじ色恋を詠んでも、

思い切らうと あきらめて それから恋になりぬとや

作者は、松浦 静山(1760~1841)侯。随筆『甲子夜話』で知られている。人情の機微をよくご存じだったらしい平戸の名君。