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誰も書かないので書いておこう。
トリノの冬季オリンピック、開会式。さすがにイタリアらしいみごとな演出だった。(それにひきかえ長野の開会式のひどかったこと!)
最後に8人の女性がオリンピックの旗を手に入場したが、先頭に立ったのはソフィア・ロ-レンだった。その旗を供奉したなかに、ス-ザン・サランドンがいた。女優が社会的に尊敬されていることがよくわかった。NHKの中継では、ス-ザンの名前もあげず、彼女が選ばれている理由もふれなかった。
いよいよ聖火が点火されたあと、最後にオノ・ヨ-コが平和の願いをこめたメッセ-ジをアピ-ルしたときも、それまてうわずった声をあげていたNHKのコメンテ-タ-は、ただ、オノ・ヨ-コさんですねえ、程度のふれかただった。
そのあとで、開会宣言や、選手宣誓が続いて、イタリアを代表する芸術家、ルチア-ノ・パヴァロッティが、「トゥランドット」のアリアを歌った。
この途中で、NHKは中継を打ち切って、「お早う日本」に切り替えた。いくら時間に正確だろうと、これが日本が開催した国際的な行事だったら、日本人の非礼に世界があきれるだろう。相変わらずのNHKのバカさかげん。野球や、ゴルフなら、平気で時間を延長するくせに。
もっとも、夜の再放送では、さすがにパヴァロッティの歌を最後まて聞かせた。だから文句をいうわけではないが、NHKの視聴者軽視、臨機応変のセンスのなさ、無神経ぶりにあきれた。
もっとも今に始まったことではない。
ずいぶん前に、女子マラソンで、クリステンセンという選手が、ほとんど心神喪失の状態で、トラックに戻ってきた。すでに何人もゴ-ルに入っていたから、着順に関係はない。しかし、ふらふらになりながら、必死に最後まで走り続けている姿に、世界じゅうの人が感動したはずである。
ところが、ゴ-ルまでの直線コ-スで、立っているのもやっと、眼も見えなくなりながらよろめきながら走ろうとしているショットで、NHKは、カメラを切り替えた。アナウンサ-、松平某がへらへらとうす笑いをうかべていたが、おもわずヘドが出そうになったっけ。すぐに民放を見たが、ちゃんと最後まで見せていた。
クリステンセンは、やっとゴ-ルしたとき、駆け寄った役員の手に崩れ落ちた。期せずして、場内からたいへんな拍手が送られた。観衆が感動していたのだった。