日韓合作のドラマ「円舞曲 ロンド」は、竹野内 豊、チェ・ジウの主演というので期待した。ほかに日本側の出演者は、橋爪 功、杉浦 直樹、速水 もこみち、木村 佳乃、風吹 ジュン。韓国側はシン・ヒョンジュン、イ・ジョンヒョン。このキャストを見れば誰だって期待するだろう。
脚本は渡辺 睦月。スト-リ-など紹介しようもないが・・・韓国の姉妹の出生に隠された秘密。姉の「ユナ」(チェ・ジウ)と、犯罪組織「神狗」の幹部「ショ-」(竹野内 豊)の愛。じつは「ショ-」は巨大な犯罪組織「神狗」に潜入した警視庁の刑事。やがてこの組織「神狗」が、日本のすべての金融機関のコンピュ-タ-・システムのデ-タを消去する計画に着手する。サイバ-・テロリズムの恐怖をとりあげたつもりなのだろう。 まるっきり荒唐無稽なスト-リ-で、サスペンスとしては最低だった。しかし、この程度の脚本でも、すぐれた演出家ならけっこういいドラマに仕立てあげたかも知れない。
ひどいのは平野 俊一の演出で、近未来SFでも撮っているつもりらしい。ハリウッドのB級SFでさえ、最近はやらないような全編、光学的な逆光撮影。
登場人物の表情もわからないシルウェット、ハ-フライティング。この演出家は、俳優をまるっきり信頼していないのだろう。バックがまた、いつもいつも無機質なブル-、クラインブル-、そのなかに原色のレッド、ペ-ルブル-、赤、朱色、黄色などの散乱。これがウルトラ・モダ-ンなドラマ造りという愚劣な気負いばかりがのさばっている。気負いどころか、演出の無能を糊塗しようとしていると見たほうがいい。
こんな演出がテレビ演出のレベルなのか。
俳優としての竹野内 豊はなかなか魅力がある。チェ・ジウは、こんなドラマに出たところでキャリア-に傷がつくことはないが、演出がはじめから彼女の魅力に関心がなく、魅力をひき出そうとしていないのだからどうしようもない。
最低のドラマだった。