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コロナ・ウイルスの日々。

知人、友人たちに手紙も書かなくなっている。

翻訳家の圷 香織から手紙。私が沈黙しているので、心配してくれたらしい。

「先生を囲んで最後に集まってから、半年ほどが過ぎましたが、あれから世の中がすっかり変わってしまったことに、あらためて目の覚める様な思いがします。」

「あれから世の中がすっかり変わってしまった」という思いは、私もおなじ。もう、これからは、コロナ・ウイルス以前の世界に戻ることはないだろう。

しかし疫病というのは恐ろしいものですね。なんだか怪奇小説の中に入り込んでしまったかのようです。とはいえ、無症状の保菌者がまき散らすことで世界を危機に陥れるウイルスだなんて、フィクションの世界でもちょっと思いつかないというか、リアルではないということで却下されて仕舞うような気がします。やはり、現実は小説より奇なり、ということでしょうか。(中略)
戦争をはじめ、これまでさまざまなご経験をなされてきた先生には、このコロナ騒動がどのように見えているのでしょうか。いろいろお考えがおありかと存じますので、ブログなどでご紹介頂けるのを、いまから楽しみにしております。

ずっとあとで、作家の森 茂里が暑中見舞いをくれた。

この半年余り、SFの世界に迷い込んだような気分です。

 という。そうなのだ。
7月23日、中国の火星探査機が打ち上げられ、予定軌道に乗った。これは、火星軟着陸を目指している。まさに、SFの世界で、その2日前には、UAE(アラブ首長国連邦)が、日本のH2Aロケットで探査機を打ち上げている。
いまや宇宙戦争の蓋然性、可能性が、私たちにつきつけられている。

「ウィズ・コロナ」どころではない。私たちは「なんだか怪奇小説の中に入り込んでしまったかのようで」、まさに「SFの世界に迷い込んだような気分なのだ。

考えただけでワクワクしてくる。

ありがとう、香織さん、茂里さん。