じつに久しぶりだが、2020年4月から、私のブログ、「中田耕治ドットコム」を再開する。
3年前(2017年3月23日)私は妻と死別した。
この日からブログを中断したのだった。妻の臨終に立ち会ったあと、悼亡(とうぼう)の思いで3年も書かなくなったわけではない。
悼亡(とうぼう)というのは、妻を喪った夫の服喪をさす。もう、誰も知らない死語だが、この3年、私にとっては、まさしく悼亡(とうぼう)の期間だった。妻が亡くなってから何も書くことがなくなった。現在(2020年4月)の私は手紙さえも書かなくなっている。
ブログの休載は――「孤独に耐えて生きて行く」といった、しっかりした信念があってのことではない。ただ、個人的に書く意欲がなくなっただけにすぎない。
あらためてブログを書きはじめる気になったのは、世界じゅうに、パンデミックの恐怖が広がっているからである。
中国・武漢ではじまった未知のコロナ・ウィルスは、3月29日の時点で、世界の感染者数が70万人を越えて、死者、3万4000人に達した。
感染者が、もっとも多いのはアメリカで、約14万2000人。ついで、イタリアが約9万8000人。中国が約8万2000人。被害がもっとも少ないロシアでは、3月30日からモスクワ市民に外出を禁止するという。(ロシアの感染者数は1534人、死者は8名。)日本では、3月28日の時点で、1日に感染者数が200人を越え、翌日は東京都内で68名の感染が確認された。
現在(2020年4月2日)、アメリカのトランプ大統領は、「これからひじょうにきびしい2週間になる」と強い危機感を表明した。アメリカの感染者数は18万9633人。死者は4081人。
日本は、感染者数は2483人。死者は69人。4月1日、世界の感染者数は87万4081人。死者は4万3288人。
いまや、世界じゅうが、パンデミックという女神の脅威にさらされている。私たちの前に「恐怖」という女神が姿をあらわしている。
その運命の輻(や)は、女神がしっかとにぎりしめて、無表情に、しかも冷酷無残なまなざしで私たちを見据えている。
私はひそかにつぶやかなかったか。
「運命」の女神のうまれながらの 哀れな阿呆
シェイクスピア。
私は、こういう時期だからこそ、「哀れな阿呆」のひとりとしてブログを再開することにきめた。阿呆のつぶやきも、ときには必要なのだ。
(再開 1)