1761 〈1977年日記 8〉

1977年5月13日

午後1時から、「東和」で「サスペリア」(ダリオ・アルジェント監督)の試写があるので、これを見たかったのだが、「牧神」の原稿(「アリス・ガ-ステンバ-グ」)に手こずったため、東京に出かけたのは2時過ぎ。
「サスペリア」は、サ-カムサウンド・怪奇映画。「日比谷」、「渋谷東宝」、「スカラ座」の公開なので、「東宝」はよほど自信があるらしい。
「ルノワ-ル」で、萩原君に原稿をわたした。このあと、「自由国民社」の鈴木君に会う。編集長(山本さん)と相談した結果、私は4本書くことになった。

何を書くか、いろいろ話しあったせいで半端な時間になってしまった。試写は見逃すし、原稿は1本だけ。気分を変えるつもりで、「CIC」に寄ってポスタ-をもらうことにした。映画のポスタ-はサイズが大きいので、近くの「新評社」に寄って紐をもらった。映画の配給会社で、気に入ったポスタ-をせしめ、別の出版社でしっかり包装してもらう作家なんて、あまりいないだろうな。私は、あまり気にしない。斉藤 節郎君が、早川君を紹介してくれた。
銀座の宵。さまざまな人の流れ。恋人たち。お互いにまだ気がつかない恋もある。お互いに感じているのに、気がつかないふりをしている恋もある。臆病な、それをはっきり口にしない恋。つまりは、私の恋。
「イエナ」で本を買う。歩いて「ロ-リエ」に寄って、買ってきた本のフラップ。ざっと眼を通しただけで、おもしろそうな本の匂いがする。