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どういうものかブログを書く気にならない。何か書いても、どうもおもしろくない。
別にスランプというわけではない。画家のマグリットは、アトリエももたず、キッチンで絵を描くような日々を過ごしていたという。彼が描いていたのは、誰も描くはずのない、奇妙な絵ばかりだった。

テレビ。これまで一度も見たおぼえがない筬という漢字を覚えた。ノ-ベル賞の授賞式に、ストックホルム大学の学生組合が、会場に旗を立てて参加する。歴史ある旗だが、これが傷んできたので、ストックホルム大学が日本の職人に新しく織らせることを依頼した。

日本の職人は、じっくり研究して、まず、この生地の糸が山繭であることをたしかめる。しかも、この糸は、4本で撚糸をして、これを金に染めて織りあげるのだが、横糸に縦糸を織るときに職人が筬ベラを使って布に仕立ててゆく。この作業をじつに1万4千回くり返す、という。
日本の職人のわざに、ストックホルム大学側も感嘆していた。むろん、私は日本の匠(たくみ)の技に感動したのだった。

 

おさ【筬】織機の付属具。タテ糸の位置を整え、ヨコ糸を織り込むのに用いる。
竹の薄い小片を櫛の歯のように列(つら)ね、長方形のワクにいれたもの(竹筬)であったが、今は銅または真鍮の偏平な針金で製したものを多く用いる。

 

「広辞苑」の説明。これだけの説明で、執筆者の苦心がよくわかる。ただし、一読してすぐに「おさ」の形状がわかるわけではない。竹ベラの片面を櫛の歯のようにして、糸をしごく道具と説明したほうがわかりやすい。
一つ、勉強になった。さらに、「広辞苑」の説明で、別の項目、「おさ」の意味を知っ
た。

 

おさ【訳語】外国語を通訳すること。また、その人。通訳。通事。通弁。〈霊異記(上)訓釈〉

私は、翻訳家のはしくれだが、通訳はできない。通訳めいたことは何度か経験したが、いつも冷や汗ものだった。
通訳を「おさ」というのか。「広辞苑」のおかげで、また一つ、勉強になった。