いよいよ最後に、ベスト・スリ-。
(3) 松茸の土瓶蒸し 在日外国人がもっとも気に入った日本食のベストテンに、カツオのたたきを選んだことに、私は感動した。
そして、三位に松茸の土瓶蒸しを選んでいる。戦後、外国人の日本理解がここまで到達しているのは驚きだった。
しかも、出汁はカツオ、という。
(2)栗ごはん 栗ヨ-カンもあわせて。ようするに、クリが好きということだろう。パリで食べた石焼きマロンもおいしかったが、外国人が栗ごはんをおいしいと思うのは、まぜごはんをおいしいと思う味覚のせいだろう。もう少し時間がたてば、「落ち栗や明日は秋なき山の鐘」(多代)とか、「落ち栗をひろうて近く乳母が里」(まさ子)といった風情も理解してもらえるかも知れない。
もっとも、それより早く日本人のほうが、そんな心情を理解できなくなっているだろう。ハロウィ-ンに仮装をして渋谷にくり出す群衆の雑踏をみれば、私のいいたいことは想像できるだろう。日本人の「オバケ好き」はおもしろいが、ことのついでに、(栗ヨ-カン)のTreat(おもてなし)でもしてやったらどうだろうか。
さて、いよいよベスト・ワンが登場する。
(1)サンマの塩焼・大根おろし サンマにフリ塩。浸透圧でうまみが出る。今年は夏の異常気象や、中国漁船の乱獲の影響で、サンマも不漁だったらしい。おかげで、こちとら庶民はサンマもろくに食べられなくなっている。それでも、外国人が大根おろしでサンマをいただくなんざ、外国人も和食の魅力に気がつきはじめた、どころではない。えらくイキな話だねえ。
このリストを見ていて、つくづく私は日本人でよかったなあ、と思う。
ただし、まだ外国人の手の届かない食べ物があるらしい。たとえば、
アンコウの味知らぬなり フグト汁 つた女