1688  私のキャサリン・マクフィー論【2】

      【2】

 

キャサリン・マクフィーは、まだあまり知られていないので、まずそのあたりから説明しておこう。
1984年3月25日、ロサンジェルス生まれ。父はTVプロデューサー。母は元シンガーだったが、キャサリンが芸能界に進出してから、「アメリカン・アイドル」のヴォーカル・コーチをつとめたという。
シャーマン・オークスのノートルダーム高校を出た。天性の美貌、美声に恵まれた少女はボストン・コンサーヴァトリー(音楽学院/コンセルヴァトワール)のミュージカル部門に進んだ。これだけでも少女期のキャサリンがきわめて恵まれた環境にそだったことがわかる。
はじめから芸能人たらんとする動機、自意識、さらには対人関係などにおいて、かなり違っていたはずである。ロサンジェルス生まれだったことも、ほかの地方在住で映画や舞台女優をめざす少女たちよりも、はじめからミュージカル女優をめざしただけに、早くから安定した職業的適応力をもっていたはずである。
おなじロサンジェルス生まれ、たとえばマリリン・モンローと比較しても社交性をはじめ、心理的に人々の注目を惹くようなイニシァティヴな性格だったのではないか。

キャサリンは、少女期から大きな才能に恵まれていたが、それだけに、ロサンジェルス育ち、ボストンでの音楽教育といった社会的、心理的な雰囲気が、キャサリンのアーティストとしての資質、ひいてはパースナリティー、その後の芸能生活に直接、かつ永続的な影響をおよぼした、と私は想像する。

 

 

1724   (イラストレーション 小沢ショウジ)