「夏は来ぬ」。小学校唱歌。
(1)うのはなの匂う垣根に
時鳥はやもきなきて
しのびねもらす
夏は来ぬ
(2)五月雨のそそぐ山田に
賤の女が裳ぬらして
玉苗ううる
夏は来ぬ
歌ったことはおぼえているのだが、メロディは忘れてしまった。誰の作詞だったのか。こんな歌詞から、佐々木 信綱、島崎 藤村、有本 芳水などを連想する。
いや、伊藤 彦造、高畠 華宵、蕗谷 こうじの描く美少女たちの姿までも眼にうかんでくる。
時鳥はホトトギス。賤の女はしずのめ。裳はもすそ。
今の小学生に読めるはずがない。いや、女子大生でも読めないし、イメージできないだろう。それでいいのだ。