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これっきり。これっきりですか。
山口 百恵のポップスの歌詞にあった。それきり。それまで。それだけ。それかぎり。
徳富 蘆花の小説を読んでいたら、
「敬二が最後の手紙のことを云ひ出すと、寿代さんは、
『わたしびっくりしたわ、何にも書いてない方のを一番にあけて見たさかい』
と唯それっ切りのあどけない顔をした。」(「黒い眼と茶色の目」其六)
とあった。
それっきりのあどけない顔。いい表現だが、もう誰も使わないだろう。
『柳樽』にこんな川柳がある。
十三夜おぼえていなは それっきり。
こんな風俗から、昔の男と女の姿が見えてくる。いまの女だって、似たような気分はあるだろう。ただ、それっきりの、罪深さ