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このブログは、たまたま心に思いうかんだだけの、よしなしごとを書きとめている。
はじめから、トリヴィアだけをとりあげるつもりだった。

ただし、それだけではどうも芸がない気がしてきた。
そこで――これからは、自分が気に入った写真や、カット、デザイン、その他もろもろ、めずらしいもの、くだらないもの、皆いりごみのまま、ときどきここに出してみようか。
だいたいは説明をつけないままで。
ようするに、私のいたずら、あるいはダスト・ボックスと思っていただけるとありがたい。

なぜ、そんなことを考えたのか。
最近になって――自分がほんとうに考え続けてきたこと、心から敬愛してきた人びとのことを、これまでほとんど書かなかった――ような気がしてきた。

たとえば、スタンダール。たとえば、ボードレール。たとえば、たとえば……とつづくなかに、ヴァージニア・ウルフ、アナイス・ニン、さらにアーシュラ・ヒージ。そのほかにも無数の魂がつながっている。……
こうした人びとのことは、やはり、かんたんには書けなかったせいもある。

 

Such subjects are like love. It should be entered into with abandone or not at all.

 

さて、私のいたずらだが、今回は――昔の雑誌に掲載されたマリリン・モンローの記事を。
ごくありふれたピンナップ。(トルー・ストーリー/1953年12月号)である。
よく見れば、おもしろいことに気がつく。

ヒルデガード・ジョンスンというサインの入った「3D時代のピンナップ・ガールズ」(3ーD PINUP GIRLS)という記事のトップ。

立体映画とワイド・スクリーンの時代になってから、ハリウッドにはさまざま
の異変がおこった。とにかく、3D、シネマスコープ・シネラマと、つい二、三
年前までは名前を聞かなかったことばがどこへ行っても聞かれるようになり、
カメラもライトも、演出のテクニックも変わってきた。ポラロイド眼鏡など
という、夢にも考えていなかったアクセサリーもあらわれた。

この記事は――立体映画には立体映画に向いた肉体が必要なのだ、というテーゼから、いままで美しい肉体で売っていた女優はどうなるか、そのあたりにふれている。
「ハリウッドはじまって以来の異変といっていいかもしれない」という。

2010年、「アバター」、「不思議の国のアリス」などの登場から、ハリウッドに3D時代が到来したといわれているが、じつは、今から60年も前に、立体映画が実現しているのだった。これが、一つ。

おそらく、みなさんもすでに確信していることと思うが、マリリンはまさに
立体映画むきの女優である。しかも、マリリンはこの一年間にあの有名なお
尻のまわりを一インチ大きくしている。

ヒルデガードさんの予想と違って、この時期、立体映画は「ハリウッドはじまって以来の異変」にはならなかったし、「マリリンが立体映画むきの女優」ではなかった。
今だって、立体映画には立体映画に向いた肉体が必要なのだ、ということはないだろう。私たちは、もっと別のことを考えたほうがいい。
メジャーの没落と、9.11、そしてリーマン・ショック以後の世界的な経済不況のまっただなかに立体映画が登場したことこそ「ハリウッドはじまって以来の異変といっていいかもしれない」のではないか。

昔のトリヴィアを見つけていろいろとアホなことを考える私は、やっぱりアホの変人なのである。(笑)

 

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