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トルストイの『戦争と平和』を訳したことがある。マニュエル・コムロフがダイジェストしたもので、オードリー・ヘップバーン主演で映画化された。日本でも公開にあわせて翻訳することになって、田村 隆一が私に依頼してきた。
ダイジェストといっても4000枚からの長編なので、福島 正実、都筑 道夫、常盤 新平たちにそれぞれ分担して訳してもらうことになった。いまとなっては凄い顔ぶれだが、いずれも個性的な訳者ばかりで、できあがってきた訳は下訳といった程度のものではなかった。

この仕事を終わったあと、肺結核が再発してしばらく寝込んでしまった。