エリック・ホッファーを読んで、こんなことばを見つけた。
「人間の魂のなかの高貴な心性――勇気、名誉、希望、信念、義務、忠誠。こういうものは、ややもすれば仮借ない非情さに変質してしまう。」
戦争で、私たちは、たくさんの勇気、名誉、希望、信念、義務、忠誠を見る。しかし、戦争の現実は、かならず仮借ない非情さをともなうものだ。
ホッファーは沖仲仕のような労働をしながら、自分の思想を築きあげて行った思想家だった。彼はつづけていう。
「ただ思いやりだけが、これをおしとどめられる。さらには、思いやりのある人だけに“静かな細い声”が聞きとれるのだ。静かな細い声、すなわち良心の声である。」と。
勇気、名誉、希望、信念、義務、忠誠といったことばが出てくると、どうしても条件反射的に警戒する。そういうことばを使う連中を信じたくない。
私の声も静かな細い声だろう。