ロンドンで、二度目の同時多発テロが起きたとき(05年7月21日)、目の前が暗くなった。ロンドン在住の知人のことが心配だったから。
事件が起きたのは、地下鉄のノーザン線、オーバル。この系統とヴィクトリア線がつながっているウォーレン・ストリート。ハマースミス・アンド・シティ線のシェパーズ・ブッシュ。
オーバルは知らない。ウォーレン・ストリートとシェパーズ・ブッシュは少し知っている。シェパーズ・ブッッシュで降りて、バッキンガム宮殿までぶらぶら歩いただけで、けっこう遠かったような記憶がある。どうしてそんな歩き方をしたのか、自分でも説明がつかないのだが、バッキンガム宮殿の衛兵交代は見た。たまたま人ごみに気がついて寄って行っただけ。観光客がつめかけていたが、私は名所見物に興味がなかった。
それでも、一度でも行ったことのある場所、少しでも知っている場所はなつかしい。小説にもなんとか書けそうな気がする。もっとも、ロンドンのことは一度も書く機会がなかった。