1180

あまり、好きではない句もあげておこう。

初雪や 門に橋あり 夕間暮      其角

情景も眼にうかぶ。いかにも其角らしいが、おのれの才気をたのむ衒気が見えるようだ。そこで、おなじ其角の

流るる年の哀れ 世につくも髪さへ漱捨つ

といった破調の句を軽蔑したくなる。

桟(かけはし)や あぶなげもなし 蝉の声  許六

これも、おなじ。

かかる夜の 月も見にけり 野辺送り  去来

これまた、おなじ。

よい声の つれはどうした ヒキガエル 一茶

以上、四句。用言の終止形でとめてある。いずれも、作者の力量はわかるけれど、あまり感心しない。
たとえば、

鶯(うぐいす)の かしこ過ぎたる 梅の花  蕪村

これも好きになれない。