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とうもろこしを焼く匂い。石川 啄木の歌碑がある公園。真夏、真昼、喧噪、人の流れ。四十年ぶりに会った旧友たち。

しんとして幅広き街の
秋の夜の
玉蜀黍(とうもろこし)の焼くるにほひよ

秋の夜ではない。真夏、真昼。老人三人が焼いたとうもろこしを食べている。ぎらぎらする光の散乱の下で。