御病気如何御座候や。随分心身を調ふるよふにあそばさるべく候。
良寛さんが、維馨尼(いきょうに)にあてた病気見舞い。じつに簡潔で、いい手紙の例だと思う。維馨尼は四十三歳。親友の姪。当時、良寛さんは五十歳。病気がちだった弟子を思ってオロオロしている良寛さんの表情が見える。
維馨尼が亡くなって五年後に、良寛さんは歌の弟子として貞心尼と出会う。貞心尼、三十歳。良寛さん、七十歳。美しい邂逅だった。
仏教者としての良寛さんのことは私にはわからない。しかし、良寛さんの手紙を読むだけで優しいお人柄がしのばれる。