正月、テレビで「寧々(ねね)おんな太閤記」を見た。
昭和56年、NHKで放送された「おんな太閤記」のリメイクで、テレビ東京開局45周年の記念作品という。
主演は、仲間 由紀恵、市川 亀治郎。
おもなキャストをあげておこう。
「秀吉の母/なか」 十朱 幸代。「織田 信長」 村上 弘明。「お市の方」 高岡 早起。「前田 利家」 原田 泰造。「明智 光秀」 西村 和彦。「徳川 家康」 高橋 英樹。「石田 三成」 中村 俊介。「淀殿」 吹石 一恵。「大蔵卿の局」 池上 季実子。
昔の作品と比較したわけではないが、市川 亀治郎は、あたらしい「秀吉」を描き出している。仲間 由紀恵はこれから先が楽しみというところだろう。
残念なことに、十朱 幸代はミス・キャスト。これ以外、それぞれの俳優、女優の芝居が、前作よりも格別すぐれているとか、劣っているという印象はない。前作ほどの感銘は受けなかった。
全編のナレーションを森 光子がやっている。これがひどかった。
森 光子は名女優といわれているが、こういうドラマのナレーターとしては不適格で、声は沈んでいるし、滑舌がおかしいため不明瞭に聞こえた。
このドラマがもう一つあざやかな印象をもたなかった理由の一端は、拙劣なナレーションにある。
舞台の名女優をナレーションに起用すべきかどうか、それは演出家がきめることだ。森 光子より下の世代の女優たちは、ディクションなりディクラマシォンをきちんと身につけている。山岡 久乃、初井 言枝、奈良岡 朋子、文野 朋子、加藤 道子などをあげただけで、それぞれのみごとなナレーションが思い出せる。
いい役者だから、いいナレーターになれるとはかぎらない。
新しい大河ドラマ、「天地人」のナレーションは、宮本 信子。さすがに、森 光子よりはいいが、ドラマ自体、精彩がないだけに、この先どうなるか、まだわからない。
70代になって「ロクサーヌ」をやる女優がいてもいい。私としては、あわれを催すけれど。しかし、声が衰えてから、大きなドラマのナレーションはやるべきではない。