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「本」(2009年2月号)の野村 進が、劇団「四季」のミュージカル、『キャッツ』に出ている女優について書いている。
 野村 進は、ジャーナリストで、拓殖大の国際学部の教授という。

 この人は、劇団「四季」に在籍している中国人の俳優が多いことから、彼らがどうして日本の舞台に立つことになったのか、に関心を抱いた。どういう困難に直面し、それをどのように乗り越えてきたのか。いま、何を考え、どんな夢をみているのか。

 私は、大きな興味をもってよんだが、じつは野村先生のテーマとは少しズレた論点で、少し考えさせられた。それを説明するために、先生のエッセイの一部分を私なりに要約しながら引用させていただく。

 「秋 夢子」という女優さんがいる。本名、鄭夢秋(ジェン・モンチュウ)。

 2007年3月、「四季」入団わずか三年半で、ミュージカル『アイーダ』の主役に抜擢された。もともと広東省で、少女歌手として数々のコンテストに優勝して、中央戯劇学院にすすみ、ミュージカルを専攻した。

 このエッセイでは、秋 夢子の経歴や、その後の「役」への取り組みが、要領よく紹介されている。

 私も、今回の取材中、幾度か疑問に思ったものだ。『キャッツ』や、『ライオンキング』のようなロングランでは、同じ役を何百回も舞台で演じる俳優がざらにいる。単純に言って、飽きないのだろうか。
  (つづく)