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(つづき)

 ところで――

 「わたしはいったいどうしたらいいんでしょう?」

 チェホフの「退屈な話」に出てくる老いぼれの大学教授は、養女で「恋人」のカーチャの問いに、ただ、
 「私は知らない」
 と答える。

 私にはこのシーンがすばらしくドラマティックなものに見える。悲しいセリフだなあ。しかし、いいセリフだなあ。私が演出したら、どういうふうに演出するだろう。

 きみからメールをもらって、こんなことを考えた。
 またいつか私を思い出したらメールをくれないか。