新年早々、イスラエルが、ガザ地区で大規模な地上戦を開始したことは、私の心を暗くした。
ガザ地区はイスラーム原理主義の組織「ハマス」が支配している。昨年12月27日からの攻撃で、死者はすでに500名におよんでいる。この地上戦が、「ハマス」のロケット弾発射拠点を制圧して、「ハマス」の攻撃を阻止することにある。
これに対して「ハマス」側は、ガザはイスラエル軍の墓場になるだろう、と言明した。
イスラエル、「ハマス」の対立、衝突は、今後もつづくと見るべきだし、はるか後代の歴史家は、人間の愚行としてこれを記述するだろうと考える。つまり、私はパレスチナ問題に関するかぎり、きわめて悲観的なのだ。
文明の衝突といった観点から、この問題をとりあげるつもりはない。宗教的な対立という観点も、はじめから私の手にあまる。
文明も宗教も、たしかに私たちの良心をうごかす原動力になっている。しかし、年齢を重ねてくれば、そんな考えにかならずしも確信がもてなくなってくる。
後期高齢者ともなれば、たいてい混乱しはじめるし、さまざまに矛盾したことをいい出すだろう。誰だって、何十年もかけて、自分の人生を何かしら調和のとれたものにしようと努力する。しかし、いくら努力しようと人生はたいしてよくもならなかった。
そうなったら、もうどうしようもない。
人間なんてそんなものだ、と覚悟をきめるしかない。厳しい正義などというものを信じるよりは、むしろ寛容をもとめるほうがいい。
ところで、寛容などというものを、きみはもちあわせているか。