お正月のうららかな日々。
何か読もうと思いながら、明治の浮世絵などを見てのんびり過ごしている。
応需 勝月の「教育誉之手術」という絵。明治も20年代の作。三曲。
前景に6人の女たち。後景に10人の女たち。(私が数えたのだが)。
前景、右手、日本髪に前櫛、コウガイの3人の娘が、お裁縫をしている。
中央に、黒のローブ・デコルテの女性。髪に赤と紫の花(二輪。ブーケだろうか)を挿した貴婦人。ほっそりした体型なので、洋装を着こなすセンスも感じられる。腰はフープ。大きな花の飾り。西洋バサミを手に、赤いドレスをカットしている。
左に、おなじく束髪に赤い造花、赤の洋装に羽織のようなコートを着た女性が、手動のミシンで何かを縫っている。それを、ローティーンのお嬢さまが熱心に見ている。
後景、右は和室。女が、若い娘の髪をととのえている。おなじ部屋で、別の女たちが何か話をしている。
奥は別棟。ここでは、三人の女がお茶をたてている。お点前だろう。
左、遠景は低い連山。空にわたり鳥の列。低い山系の手前に大きな池。その池のほとり、絵の左端、洋装にハットのご婦人が散策している。
こんな説明では何もわからないだろうが、世は鹿鳴館の時代で、和洋折衷というか、和洋混合の風俗が描かれている。
応需 勝月という画家については知らない。ただ、この絵の「教育誉之手術」という題に興味をもった。明治20年代に「手術」ということばが使われていたことがわかる。私たちは、外科の手術という意味でしか使っていないが、明治の人々は、手の作業、工作、運用法といった意味で訳したものと思われる。
お正月、ぼんやり一枚の版画を眺めて、いろいろなことを考える。
楽しい。