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  しばらく前にこんなニューズを読んだ。(’08.7.16.)

 ストレスによって記憶力が低下することは、よく知られている。
 日本医大の太田 成男教授のグループは……水素が活性酸素をとり除き、脳梗塞による脳障害を半減させることを確認した。

 認知症は活性酸素などによって神経細胞が変性する病気とされるが、太田 成男教授はマウスの実験で……水素が大量に溶け込んだ水を飲ませたマウスと、ふつうの水を飲ませたマウスの比較から……水素水を飲まなかったマウスの海馬には、活性酸素によって作られた物質が蓄積していた。水素水が活性酸素によって低下した神経細胞の増殖能力を回復させ、記憶力の低下も抑制したと考えられる、という。

 こういうニューズはうれしいかぎり。

 北京オリンピックの開催間近に、BSで「東京オリンピック」をやった。
 これを見ながら、市川 昆のことをいろいろ思い出していて、はて、「愛人」は見たはずだったが、どんな映画だったっけ、と考えあぐんだ。オリンピックでいえば、ロサンジェルスから、マドリード、ソウル、ぐるっと地球を一周するくらいの時間がかかって、やっと森本 薫の『華々しき一族』の映画化だったことを思い出した。
 森本 薫も思い出せなくなっているのか。これはショックだったが、あの映画は、コーチャン(越路 吹雪)の映画だったなあ、などとへんに納得する始末。

 当時、私は映画の仕事をしていたせいで、この頃のことはわりによくおぼえている。

 市川 昆の「愛人」が公開された時期、「大映」は衣笠 貞之助の「地獄門」を出してきたはずで、「愛人」では長谷川 一夫、京 マチ子には敵わなかったなあ。あの映画の「清盛」は千田 是也だったが、千田 是也の映画としてはましなほうだったな、などと考える。
 外国ものでおぼえているのは、アルベルト・ラットゥアーダの「アンナ」ぐらいか。「アンナ」はシルヴァーナ・マンガーノだったっけ。
 そういえば、エリア・カザンの「綱渡りの男」もこの頃に出た。
 エリア・カザンとしてはめずらしいサスペンス。旧ソ連圏のチェッコから、必死に脱出しようとするちっぽけなサーカス団の話。反共映画だが、脚色が、ロバート・E・シャーウットだった。アメリカ有数の劇作家。映画は駄作だったが、私としてはテリー・ムア、グローリア・グレアムが気に入っていた。

 すっかりボケて何もおぼえていないくせに、好きな女のことは忘れない。(笑)