老年になって、ネットで阿呆な文章を書くなど夢にもおもわなかった。
どうしてこんなものを書いているのか。
DJをやっているようなものですヨ。
DJといっても、テクノのDJもいるし、DJ=OZMAもいる。ポピュラリティーからいえば、私の書くものなどOZMAサンとは較べものにならない。
なにしろPCリテラシーがない。クラブで本格的にレコードをまわすようなわけにはいかない。あまり人の知らないコトをHIP=HOPみたいに、ズラズラ書いているワケ。HIP=HOPは、いろんな音楽のコラージュみたいなところがある。
私のHPは短いものだけ。つまり、なんでもアリ。(笑)。
先日、ある友人が「先生の博覧強記に驚かされます」と書いてきた。わるい冗談だヨ。心にうかぶ、よしなしごとをゾロッペェに書いているだけのことだから。
われ民間に育ち、人におもてを見知られぬをさいわいに……
おもわずつぶやく。自然に頭にうかんできたから。「われ民間に育ち」なんて、いいじゃありませんか。『本朝廿四孝』四段目。
すぐに連想がはたらく。
行く水の流れと人の蓑作が姿見かわす長上下、悠々として一間を立ち出で……
つまりは武田 勝頼の出場(でば)。奥から悠々と登場してくる。
「行く水の」で、水が流れているような気分。そこから、チン、チン、チン。三味線が入ってから、ハルブシの「流れと人の」とつづく。
このあたりの呼吸のむずかしさは、じつは私にはわからない。何もわからずに人形芝居を見てきただけで、博覧強記どころではない。
歌舞伎の勝頼は二枚目。文楽では、むしろ武将らしい役。おなじものを見ても、ずいぶんとちがう。
役者によっても違ってくる。いい翻訳と、それほどでもない翻訳の違い。イヒヒ。