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 五月雨。こんな句を見つけた。

   五月雨はただ大黒の世界かな   徳 窓

 わからない。
 大黒さまが、七福神のひとりで、仏教の守護神、それも戦闘、憤怒、厨房の三つも兼任する自在神ぐらいのことは私も知っている。
 打ち出の小槌を片手に米俵の上に立って、小判を巻いている図を思い浮かべた。
 しかし、米俵の大黒さまと、五月雨がどこまでも「大黒の世界」というのが、野暮な私にはわからない。五月雨はオバマ、ヒラリーの世界かな。いっそのこと、ただプーチンの世界かな。これでも、けっこうおもしろい。

 しばらく考えた。あ、そうか、これは「大黒(おおぐろ)」と読むのかも知れないな。なるほどねえ。思わず、合点した。

 おおぐろ。千 利休の命名による名器。
 句意は、五月雨といっても、しとしと降りではなく、どしゃ降り。あたりか、陰々たる黒さになる。それが、あたかも名器「おおぐろ」の肌を思わせる、というのであろう。

 ちぇっ、つまらねえ。

 もっとも別のいたずらが頭にうかんだ。

   五月雨はただ大黒の世界かな

 私のいうおおぐろは、大黒 摩季。いいアーティストだった。最近は、あまりCDも聞かなくなってしまったが。