11月5日、私は80歳になる。別に感想はない。
今日(11月3日)、安東 つとむ、田栗 美奈子、真喜志 順子が発起人で、私のために知人、友人たちが集まってお祝いのパーティーを開いてくれた。たいへんな盛況だった。参加してくれた人々は約50名。ほとんどが女人ばかり。
自宅で安静にしていなければならない浜田 伊佐子は、わざわざ手紙をくれた。仕事で忙しい人たちも電話や手紙で、お祝いのことばをつたえてくれた。
心からありがたく思っている。
80歳になって、つまらぬ感想を述べるくらいなら、好きな詩の一節でも引用したほうがいい。少しは利口に見えるだろう。
牽拙謬東シ
浮情及西コン
戯訳。
わかき日を 才なく うかれすごしけり
うかれうかれて いまは じいさま
原詩は中国古代の詩人、沈 約。
「少年老い易く 学なりがたし」よりも、どこか覚めているところがいい。
他人のことばを借りておのれの現在を語るというのは「才なき」証拠だが、他人のことばにおのれの及びがたいものを見ることも老年の楽しみのひとつ。
アメリカの名女優、タルラ・バンクヘッドのことば。
もし、人生をもう一度生きるとしたら、おなじ誤りをそのままくり返すわ。
・・・もう少し早い時期にね。
さすがは名女優。宮本 武蔵の「我が事において後悔せず」ほどにもすばらしい。
やはり、私など及びもつかない。
ここで少し補足しておけば、ありがたいことにこの11月の集まりが、人生最後のパーティーになる。
今後、私はこうした集まりに出ることはない。