冬虫夏草。
漢方医療にくらい私でも貴重なクスリと知っている。
新華社通信の報道では、「冬虫夏草」の乱獲が深刻化して、原産地の一つ、青海省では、価格が30年前の1000倍以上に高騰している、という。
チベット自治区、青海省の集中生育地帯の生産量が25年前と比較して、10パーセントに落ち込んでいる。全国の生産量も、2~3.5パーセントにまで減少している。
中国科学院の専門家の現地調査による。
07年5月、青海省で、500グラムあたり、3万5000元(約52万5000円)だった価格が、8月には5万元(約75万円)にあがっている。
小さな記事だが、私の関心を惹いた。
価格が1000倍!
冬虫夏草が、昔の不老不死の仙薬、九転丹のようなものだとしても、眼のくらむような高騰で、戦後すぐの物価の大変動を知っている私でもこれほど激烈な高騰は知らない。
もし、青海省当局が、冬虫夏草に関して緊急物価対策の要綱といったものを出しているなら、読んでみたい。あるいは、中国科学院の報告があるなら、読んでみたいと思う。あいにく私は中国語が読めないのだが。
私はこの記事を読んで、ファルスのようなものが書きたくなった。
いつもいつも、書く題材に困っていたゴーゴリに聞かせてやったら、たちまち『検察官』や『死せる魂』に劣らない作品を書いたにちがいない。
創作力が枯渇しているせいか、そんなことしか考えない。