アメリカ文学を勉強していた時期があった。1920年代から戦後まで、ベストセラー上位の作品の半数以上を読んでいることに気がついた。自分でも驚いたが、それほどベストセラー作品に魅力があったのか。
たまたま「週刊読売」が、アメリカのベスト10を特集した。私は、小説のベストセラーをあげたのだった。
私が選んだベストセラーのリストは・・・・
(1)「風とともに去りぬ」(マーガレット・ミッチェル)
(2)「誰がために鐘は鳴る」(アーネスト・ヘミングウェイ)
(3)「地上より永遠に」 (ジェームズ・ジョーンズ)
(4)「裸者と死者」 (ノーマン・メイラー)
(5)「ライ麦畑でつかまえて」(サリンジャー)
(6)「かもめのジョナサン」(リチャード・バック)
(7)「ロリータ」 (ウラジミール・ナボコフ)
(8)「ラヴ・ストーリー」(エリック・シーガル)
(9)「怒りの葡萄」 (ジョン・スタインベック)
(10)「紳士は金髪がお好き」(アニタ・ルース)
どう見ても古色蒼然としたリストだと思う。いまでも読まれているのはサリンジャーぐらいだろうか。
こうした作品を熱心に読んできた。このリストに、「かもめのジョナサン」や「ラヴ・ストーリー」をあげているのは、このアンケートに答えた頃のベストセラーだったから。スタインベックの「怒りの葡萄」、アニタ・ルースの「紳士は金髪がお好き」は、戦前のベストセラーだが、これほど極端にちがう作品も、読者に読んでほしいと思ったから。「紳士は金髪がお好き」はマリリン・モンローの映画でしか知られていないが、フラッパー・エイジを知ることができる。
ここではとりあげなかったが、これ以外に私のベストセラー・リストに、キンゼイの「人間女性における性行動」と、マスターズ、ジョンソンの「人間の性反応」を選んだ。
このとき、常盤 新平は、ギャングのベスト10を選んでいる。
(づづく)