9月、ようやく秋の気配。
夏のはじめに、田栗 美奈子が、「今年もまた、暑い暑い夏がやってきました。地球温暖化とやらで、年々、イヤな感じの暑さが増していくようです」と、書いてきた。
ペルーの地震、北極圏の氷河の崩壊、パリの酷暑、フロリダのハリケーン、ギリシャの広大な山火事、まったく異常な現象がつづいた。
そして、1929年前夜を思わせる株式市場の激烈な乱高下。北朝鮮の核配備。タリバンによる韓国人の拘束。軍の高度機密漏洩。朝青龍のふてくされ。モンゴルの反日感情。
こんなことが毎年つづいて、やがて確実に大異変が起こると思うと、さすがに背筋が寒くなる。
酷暑の日々、本を読むスピードが落ちた。セミもめっきり数が少なくなっている。こうなったら、キリギリスのように遊び暮らすしかない。
秋になると、ご近所で家の新築がはじまって、私の住んでいる界隈も少しづつ変化してゆく。
家こぼつ 木立も寒し 後の月 其 角
九月の十三夜。陰暦の九月だから、木立の景色もさむざむしい。
私の住んでいる界隈にこうした風情はない。木立さえもないのだから。