☆600☆ Revised

「コージー・トーク」をはじめたとき、どうせ誰も読まないだろうと思っていた。ところが、少数ながら熱心に読んでくれる人がいる。これは驚きだった。
 メールで近況をつたえてくれた人もいる。私の書いたミステリーに関して、精細な質問をしてきた人もいる。昔、私がラジオで放送したプログラムを、CDにして贈ってくれた人もいる。ときには、自分の書いたものを読ませてくれた人もいる。私は、いつも感謝したのだった。

 私の「コージー・トーク」は、いつもある人を相手の対話なのである。自分の心づもりではいつも特定の相手、つまり、きみにあてて書いている。
 私にとっては表現のひとつのありようで、お互いに相手のことを心にとめて、自分と相手のあいだに、いきいきとした関係性を作って行く。そこから何かがうまれないはずがない。そう思っている。

 翻訳家を志望している人たちのための勉強をつづけてきた時期がある。私のクラスからたくさんの翻訳家が登場した。当時、よく聞かれたものだった。翻訳家を育てるコツみたいなものがあるんですか。
 冗談じゃねえや、そんなもの、あるわけねえだろ。
 私は、何時もその人の「翻訳」を見て(読んで)きたのだ。どうすれば、翻訳がうまくなるのか。そんなことは考えたこともない。