礒崎 純一著、「龍彦親王航海記 澁澤龍彦伝」を読みはじめた。
すごい大作で、読み終えるのに、3日もかかってしまった。思いがけないことに、私の名前は7カ所出ている。澁澤君と同時代に生きただけに、少年時代から「戦後」すぐの彼の環境に、どこか重なりあうような気がした。むろん、私の身勝手な思い込みだが。
私が澁澤君の交誼を得たのは「血と薔薇」からだが、礒崎 純一は、
それまでの澁澤の交友関係からみてめずらしい部類に入るのは、植草甚一、中田耕治、堀口大学、杉浦明平、高橋鐡、川村二郎、倉橋由美子、野坂昭如、武智鉄二といったところか。特に、中田耕治と植草甚一を執筆者に選んだことを、澁澤は得意に思っていたらしい。 (P.277)
と書いている。
わずかな記述だが、これだけでも、「血と薔薇」の時代がよみ返ってきて、感慨をあらたにした。なつかしい澁澤君。
私は、ある時期からまったく文壇のひとびとと交遊しなくなった。(できれば、いつか、その事情についてブログに書くつもりだが)。
いつも孤立していた私などは、澁澤君の交友関係からみてめずらしい部類に違いない。逆に、澁澤君が、私を「血と薔薇」に誘ってくれたおかげで、この評伝に登場する種村 季弘、松山 俊太郎、加藤 郁也といった当代きっての特異な文学者たちを知ることができた。
今や、これらの人々のことごとくが鬼籍に入っている。