1848(2020年4~5月の記録)

(つづき)

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 ……世界全体も大きく転換していきそうですが、これからの時代をどう予想されますか。

令和の時代、まずオリンピックは成功する。だが、私たちが想像もしなかった激甚な変化が起きるだろう。一時的な経済的な見せかけの繁栄の背後に、さまざまな衰退、おそろしい影が迫ってくる。(1)

 (1)に関して。

2020年2月の時点で――私は武漢コロナ・ウイルスの発生など、まったく予想もしていなかった。(ずっとあとになって、占星術の本に、21世紀初頭に「奇病が世界を襲う」という記述を見つけた。むろん、そんな記述を信じたわけではない。)

「令和の時代、まずオリンピックは成功する。」と私は見た。これも私の不明。
オリンピックはエピデミックが収束し、かつ、日本がいくら努力しても、残念ながら成功しない。なぜなら日本で収束しても、他国のエピデミックが収束しないかぎり、オリンピックは失敗とまでは行かなくとも、成功したとはいえない程度のレベルで終わるだろう。残念ながら。

「私たちが想像もしなかった激甚な変化が起きるだろう。」これは当たったが、私が予想したのは、経済的な破局であって、大不況の到来を考えていたのだった。私は、2019年夏期の段階で、アメリカの株価、ダウ平均の動きを見ていた。いうまでもなく、アメリカvs中国の経済闘争が背後にあった。この時期の株式の乱高下に異常な緊張を見ていた。いずれ、これは破局的なものになるかも知れない。
トランプ以前に、どれほどの人が、現在の政治・経済体制を想像したろうか。
私は、お互いに一歩もゆずらない姿勢に「恐怖」を感じた。
その帰結はかならずやってくる。

私は、少年の頃、日中戦争の拡大と、ヨーロッパの戦争の展開を見てきた。それぞれが世界戦争のかたちをとっていなかったが、二つの戦争が、それぞれ1929年の大不況の影響の結果として、満州事変と、ナチスの台頭をもたらしたと見ていい。

習 近平の「一路一帯」構想が、典型的な帝国主義経済の発展であって、いわば中国による各国の植民地化、中国の勢力範囲が世界のあらゆる所にひろがって行くだろう。それは、アメリカ・ファーストと衝突して、世界の従来の均衡を破壊する。
そう見れば、大不況は必至と見たのだった。

私が――「一時的な経済的な見せかけの繁栄の背後に、さまざまな衰退、おそろしい影が迫ってくる」と考えたのは、今となっては、誤りと見たほうがいい。「緊急事態宣言」解除のあと、「一時的な経済的な見せかけの繁栄」などない。むしろ、国民の多数が、いっきに貧困や差別に苦しむことになる。

さまざまな衰退ではない。すべてが衰退する。

たとえば、コロナ・ウィルスの検査にあたっている医療関係者に多数の感染者が出ていること、また感染経路の不明者(とくに若い女性に多いという)が出ている事を考えた場合、そこに、私はウイルスのように見えない「貧困」や、社会的な、さらには性的な「差別」を見る。

私たちは、コロナ・ウイルスの出現で、さまざまな欠陥を知った。医療現場で、人工呼吸器、防護服、マスクなどの基本的な必需品の不足や、検査薬も不足しているという欠陥を突きつけられた。北イタリアで、次々に搬送されてくる患者が病院の廊下に寝かされて、診察も受けられないまま死んでゆく光景をテレビで見たとき思わず慄然としたが、日本でも、重症患者が搬入先の診療所から拒否されて、救急車が受入れ先をさがしまわるといった例も多発した。

コロナ・ウイルスのもたらしたものは、もはやエピデミックなどではなくパンデモニックな「格差」と「貧困」の姿だった。