安倍首相が緊急事態宣言の表明。対象は、東京都、神奈川、埼玉、千葉、大阪府、兵庫、福岡の都府県。期間は5月6日までの1カ月程度。
東京では、6日、大学、映画館、ナイトクラプなども休業した。
いまや日本も重大な事態に向かっている。さいわい、まだ医療崩壊は起きていないが、パンデミックの最悪のフェーズは――金融の崩壊、社会秩序の破壊、貧困、大不況など、私たちの想定外の事態につながる。
こうなると、ただのパンデミックではすまない。むしろバンデモニックというべき状況になっている。
外出自粛のせいで、わが家の前の道路もほとんど通行人の姿を見ない。車も通らない。これだけでも日本人の気質というか従順さ、規律正しさがよくあらわれている。「国民は、黙って事態に対処している」というべきだろう。
このまま5月の連休明けまで家の中で過ごすのだから、退屈な日々が続く。仕方がないので、手あたり次第にDVDを探している。できれば、何も考えずに笑える喜劇を見たいのだが、あいにく、そんな映画はほとんど処分してしまった。
外出自粛だから映画を1本も見ていない。もっとも、せっかく公開された映画の大多数は、誰にも見られないままオクラ入りになってしまうだろう。しかも、今後も再上映されるかどうか。おそらくその可能性は低い。
コロナ・ウィルスが収束しても、そのときはもう誰の記憶にも残っていないだろう。
どんなにいい映画であっても、たちまち忘れられるだろう。
その映画に出ていた俳優、女優たちも、恐らく話題になることはない。だからこそ、私はせめてタイトルだけでも記録しておきたいと思う。
これらの映画の製作に当たった監督、制作スタッフ、出演者たちの無念は察するにあまりがある。
今回の中国コロナ・ウィルスのおそろしさは、「サーズ」と違って私たちの文化に回復できないほどの傷を与えることにある。