1836(2020年4~5月の記録)

ブログに記録しておく。

20年4月7日、私がブログを再開してすぐに、安倍首相が緊急事態宣言を表明した。
政府は、5月6日までの期限内で、感染症の収束をめざしている。(これはさらに延期された。 後記)このエピデミックは、まさに国難と見ていい。

この宣言の対象は、東京都、神奈川、埼玉、千葉、大阪府、兵庫、福岡の都府県。期間は5月6日までの1カ月程度。
(その後、この規模は、全府県に拡大された。)コロナ・ウイルスの脅威は、ついに、日本にも及ぶことになった。

東京では、6日、大学、映画館、ナイトクラプなども休業した。

わが家の前の道路も、1人も通行人がいない。車も通らない。異常事態に直面したとき、私たちが(例外はあるにしても)、ほとんど平静に「緊急事態宣言」を受け入れようとする。その習性の、国民性の従順さ、規律正しさがよくあらわれている。

私が若かったら、関東大震災に夢野 久作が東京を歩きまわって、ルポルタージュを書いたように、こういう時代の姿を記録しておくのだが。
この4月、深刻なコロナ・ウイルス感染症の収束はまったく見られない。制御できないまま、ウイルスの感染はつづいている。つい2週間前には、感染者数も低かったロシアも、いまやパンデミックが絶大な衝撃をもたらしている。

私は、現在の感染拡大の収束よりも、むしろその後のもっとおそろしい事態を危惧している。それは、政府が緊急経済対策で、現金10万円の一律給付を発表したが、これは焼け石に水にすぎない。
きたるべき大不況は、この程度の対策では経済対策として成功しないだろうと思う。

むしろ、私たちの前途には、いやおうなく大失業時代が待ちうけていると覚悟したほうがいい。

リーマン・ショックのとき実施された一律給付をおぼえている。与党の党首の提言で、急遽、現金の一律給付が実行された。当時の首相はこの提言を聞いて、ちょっと驚いたような表情を見せたが、
「いいんじゃないですか。この事態で、できることは何でもやってみる、ということで……」
と反応した。木で鼻をくくったような反応ではなかったが、与党の党首の提案としてはほとんど意味がない、と思っていたらしい。私は、この瞬間、リーマン・ショックが、もっと深刻な打撃なのだろうと直観した。

このときの現金給付は、焼け石に水でさえなかった。実効性のない思いつきで、ほとんど無意味な経済対策で終わった。私はテレビでこのシーン(首相の反応)を見たが、これが平成の「失われた10年」の端緒になった。
この緊急経済対策の失敗を見ているだけに、今回の48・4兆円程度の給付措置が、今回のコロナ・ウイルスに対する経済的な支援として成功するとは思えない。

私は、確実に大不況がくると思った。

(このブログは、4月15日に書いたのだが、発信しなかった。
もう少し、事態の推移を見たかったので。)