私のブログが、レトロスペクティヴなものになるのはやむを得ない。
ある時期、私が親しくしていただいた先輩を思い出す。そのひとりが宮 林太郎さんだった。むろん、私の勝手な連想で、宮さんには、何の関係もないのだが。
こんなことばを聞いたことがある。
「どうして、お宅の息子さんは発明なもんだ。下駄屋の息子さんには惜しいものさね」
「なあに、あいつは変わり種でさあ。こまっしゃくれたことばかりいいやがって、から
役には立ちませんや」
落語に出てくるセリフのようだが、「発明」という言葉に、別の使われかたがあると知
ったのだった。英語でいう Sagacity の意味だが、辞書には、「汝が発明らし
き貌して」(「武家義理物語」)や、「女郎芸者に発明なる者はあれども」(「梅児誉美
」)といった例が出ている。私の少年時代、こんな言葉が日常的に使われていた。
「から」は、からきしの略。「からきし何も知りやせん」という例が「膝栗毛」にある。
「この界隈じゃ、おめえの考えるような、シラ几帳面なことはありやしねえ」
この「シラ」はよくわからないが、かるい推測にいう。
セクハラで追求されて、シラを切る。あの「シラ」とは別物。
(再開・8)