1773 〈1977年日記 20〉

1977年6月20日(月)

17日、ブレジネフが最高幹部会議長に選出された。ブレジネフは、共産党書記長だが、これで党と国家の最高のポストについたことになる。ソヴィェト史上、はじめて。
この会議では、ブレジネフと並んで、コスイギン、ス-スロフ、キリレンコ、クラコフなどの政治局員が、トップ・グル-プ。

和歌山でコレラが発生したが、わが家では、みんなが風邪にかかってしまった。

裕人が風邪に感染して、学校を休んだ。翌日、私が発熱した。アメリカから帰ってきたばかりのエリカも寝込んでしまった。百合子も、帰国してからあまり体調がよくないらしいが、みんなが倒れてしまったので、看病してくれたらしい。

私は関節が痛くなるし、熱が出て、何も考えられない。寝ながら、カッシラ-を読んだが、こんなにむずかしい本は読んだことがない。何度も何度もおなじところを読んで、何とか意味がわかるような状態だった。とても本を読んだとはいえない。この日記を書いている現在も、頭がふらふらしている。

17日、杉崎 和子女史といっしょに「実業之日本」、峯島さん、土山君と会って、やっとアナイスの出版がきまった。

 

 

 
1977年6月21日(火)

3時10分、「ワ-ナ-」試写室。「エクソシスト2」(ジョン・プアマン監督)を見た。
前作、「エクソシスト」の続編。前作では、12歳だったリンダ・ブレアが、ハイティ-ンになっている。ところが、またしても悪霊にとりつかれて、精神科医(ルイ-ズ・フレッチャ-)にあずけられる。前作では、「メリン神父」(マックス・フォン・シド-)がカラス神父(シェ-ソン・ミラ-)に協力するが、悪霊相手に苦闘する。今回は「メリン神父」も出てくるが「ラモント神父」(リチャ-ド・バ-トン)の調査がメインになっている。続編なので、どうしても前作と比較してしまう。
風邪の予後に、こんな駄作を見たので、気分がよくない。頭も動かないので、ろくな感想もうかばない。リンダ・ブレアは、「ふたりだけの森」(リ-・フィリップス監督)のほうがいい。

 

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1977年6月27日(月)

とにかく一週間というもの、風邪で苦しみつづけた。咳が出て、眼まで痛くなった。ひどい目にあった。

「文芸家協会」から連絡があった。
なんとなく予想していたのだが――私はソヴィェト行きの選考からはずれた。やっぱり、ぬかよろこびだったか。
今回、ソヴィェトに派遣されるのは、加賀 乙彦、高井 有一、西尾 幹二の3氏。いずれもすぐれた作家、評論家たちで、誰が見ても妥当な人選といえるだろう。
まあ、はずれるだろうと思っていたから、あまり失望はしなかった。平林 たい子賞のときも、今回のソヴィェト行きも、私はいつも運がない。
あきらめはいいほうだが、人にソヴィェト行きの話を吹聴しなくてよかった。

「実業之日本」、峯島さん、土山君にまた会った。話をしているうちに、「実業之日本」としては、アナイスのような作家よりも、もっとポビュラリティ-のある作家の翻訳を出したがっているらしい。
そういうことか。それならそれでいろいろな作家がいる。

むろん、私ひとりでやれる仕事ではない。親しい翻訳家たちに協力をもとめることになるだろう。
宇野 輝雄、三戸森 毅、内野 登喜和子さんに連絡しようか。

 

 

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