1754 〈1977年日記 1〉

1977年5月1日(水)

久しぶりに山登り。まだ完全に復調したわけではないので、奥多摩の楽なハイキングコ-スを選んだ。
午前8時、新宿駅。いつものように、10番線。吉沢(正英)、安東つとむ、由利子、工藤、Y.T.中村、鈴木のほかに、あたらしいメンバ-として、桜木三郎、飯田、坂牧、島崎、下沢たちが参加した。
この顔ぶれを見て、安東、吉沢君とコ-スをきめる。わずか30秒。久しぶりの登山なのだから、もう少しむずかしいコ-スを選んでもいいけれど、はじめての人もいるのだから、初心者コ-スを選ぶことにした。
安東、吉沢のふたりはベテランなので、私が「棒ノ嶺」といっただけで、すぐにこのコ-スを選んだ理由や、下山のコ-ス、全体の所要時間も了解する。日頃から私のメソッドを知っているので何も指示する必要はない。
まず御嶽をめざす。よく晴れているので、はじめて山に登るメンバ-も、うきうきしている。
怱岳から棒ノ嶺。Y.T.が疲労しなければいいのだが。
夕暮れ、名栗に下りて、ビ-ル、ラ-メン。
帰京、8時30分。
久しぶりのハイキングだったので、この程度のコ-スなのに疲労をおぼえたが、私の内部には、いちおう満足できた、私なりの感情の昂揚があった。

 

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1977年5月2日(木)

眼がさめた。熟睡したあとの爽やかな気分。疲れはとれていた。時計を見ると、6時過ぎ。

午前中から、電話が多い。長谷川君(二見書房)、萩原君(牧神社)、萩谷君(映画ファン)など。岸村さん(南窓社)に、会う日時を変更してもらう。
今日、読んだもの。植草 甚一さんの「J.J氏の男子専科」。虫明 亜呂無の解説。中村 光夫の「雲をたがやす男」。「七七年 推理小説代表作選集」、斉藤 栄の「河童殺人事件」。
ヘラルドで「テンタクルズ」(オリヴァ-・ヘルマン監督)の特別試写。
こんな映画に、ヘンリ-・フォンダが出ている。ときどき、驚くようなことがある。「センチネル」を見たときは、エヴァ・ガ-ドナ-と、ア-サ-・ケネデイ-が出ていた。

夜、チャプリンの「独裁者」を見た。これで3度目。私は、チャプリンの徹底した反ファシズムの姿勢に敬意をもっているが、純粋に映画として見た場合、チャプリンはこの映画あたりから衰退を見せていると思う。ただし、誰もそんなことをいわない。