悼亡、一年。
悼亡(とうぼう)というのは、妻を喪った夫の服喪をさす。もう、誰も知らない死語だが、この1年、私にとっては、まさしく悼亡(とうぼう)の期間だった。
桜の開花の予想がつたえられてすぐに、関東甲信は、山沿いを中心に雪になった。
お彼岸に雪が降るというのはめずらしい。
21日の気温は、奥多摩で2度。宇都宮、4・8度。都心が、6・6度。
翌日、私の住んでいる近くの公園で、わずかながら桜が咲いているのを見た。
1年(ひととせ)の喪あけに見たり 初さくら
ふと、思い出したのだが・・・桜が咲いているのに雪が降るという話から、幕末、井伊大老が水戸浪士に襲われて暗殺された桜田門外の変(安政7年、1860年)を思い出した。この3月3日、時ならぬ雪が降っていたそうな。
歌舞伎役者の団蔵は、この暗殺事件を知っていそいで外出、惨劇の現場を見に行った、という。
大老暗殺の翌日は、雪もやみ、すばらしい快晴になったので、江戸市民は雪月花をいっときに楽しんだらしい。
この話は伊原 青々園の本で読んだ。
つまらない話だがなぜか心に残っている。というより、私はこんな話が好きなので、心にとめたものらしい。